うまい棒めんたい味の如く映画を語る

ちょっぴり辛く、どちらかと言うと甘い感じで 映画をレビューしていきます。 ホラー、サスペンスが中心です。

「ゼア・ウィル・ビー・ブラッド」を観ました

ポール・トーマス・アンダーソン(通称:良い方のアンダーソン、またはPTA)監督による
とある山師の栄光と破滅を描いた作品。

あの「ノーカントリー」とアカデミー作品賞を争った作品です。





先に感想を言ってしまうと、ものすごく面白かった
製作者の事情がなければ「ノーカントリー」を押しのけての受賞もありえたのでは?





ダニエル・デイ・ルイス扮する山師プレインビューは死んだ同僚の子供を連れ、
あちこちで村人をだましては安価で石油を掘り続けていました。

そして今回もとある若者の情報によって、小さな田舎の村に石油があることを知り、
早速地主のおじいちゃんを上手いこと、でもちょっと強引に説き伏せて
石油を掘っちゃいます。

まあ、現代のベンチャー企業の社長さんみたいな人なんですよ。
この人は他人を全然信頼しないわ、めちゃくちゃ強欲だわで
ものすごく性格悪いんですけど、別に完全な悪人というわけではないんですよ。
ちょっぴりおちゃめなところもあって、うっかり感情移入してしまうシーンもあります。
なんというか、一言では言い表せないような人なんです。




で、この人が村で石油をやんややんやと掘りたいわけなんですが、
その村には一人、異常な人物がいました。

その男の名はイラーイ、演ずるはポール・ダノ
この男は熱心なキリスト教の神父で、毎朝人を教会に集めて
体調の悪い人を呼び出しては
「悪魔よ去れ!悪魔よ去れ!神の怒りがどうたらこうたら〜」
とか言ってエクソシストのようなことをやって、「あなたの痛みは消えました、もう大丈夫です。」
なんて根拠の無い妄言を吐いて、村の老人からおアツイ支持を受けてるんですよ。

あれですね、江○○之や細○数○の同類




宗教なんかこれっぽちも信じていないプレインビューはこいつが大嫌い
しかもこいつは自分が正しいことをしてるって疑わない
ちょっと自分で自分を洗脳してるようなやつだから、余計に腹が立つ。
しかも土地の契約をする時にこいつに教会のお布施として5000ドルやるって
約束を取り付けちゃったから、もう目の上のたんこぶ的な存在。

で、ある日息子が油田の事故で耳が聞こえなくなってしまった。
プレインビューは悲しみより先にイーライに怒りをぶつけます。
あれだけ老人の病気は治してきた(と言っている)のに、
息子の耳ぐらい治せない
インチキなイーライに掴み掛かり、
殴り飛ばします。石油がべったりついた地面に頭擦り付けます。


このことがきっかけで、二人の冷戦が始まるわけです。



金は持っているが心は孤独な性悪山師プレインビューと
狂信的なカルト神父イーライ
果たしてどちらに軍配が上がるのでしょうか。





ストーリーも良いけれど、演出も絶品です。

PTA監督はキューブリックが大好きなようで、
今作もキューブリックの作品を彷彿とさせるような演出がチラホラと。

例えば、オープニングから10分程度、無音のシーンがあるのですが
これは「2001年宇宙の旅」のオープニングを彷彿とさせます。

どこか冷たい感じのする雰囲気もキューブリック作品とよく似ていますね。




個人的に一番のお気に入りは、石油に火がついちゃって
油田火災が発生するシーン。

このシーンではプレインビューが油田の方へと走っていくんですけれど、
これがすごい長回し!
ひたすら走るプレインビューを追っかけるように撮るんですね。
これがまた格好良いんですよ。

他の方々がブログで触れているラストシーンにもかなり良い長回しがあるんですけれど、
そのシーンではカメラワークよりも役者の口げんか芸に圧倒されてしまいましたね。






本当にいい映画なんですが、
一回でその良さをすべて把握することはかなり難しいと思います。
是非もう一度観てみたい映画でしたね。




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「ランボー 最後の戦場」を観ました


これはすごいです、傑作です!
今のところ今年度暫定ベスト1確定です。



「ロッキー・ザ・ファイナル」に続いて、スタローンが再び傑作を作り上げました。



カレン族に対する情け容赦ない虐殺が日々繰り広げられているミャンマー
伝説の男ジョン・ランボーは戦いを嫌い、タイで人目を避けるように暮らしていましたが、
アメリカからきたボランティア団体が軍に束縛されたのをきっかけに過去の自分がよみがえり
激しい戦いを繰り広げます。




前評判でも散々残酷描写がものすごいなどと言われていましたが、本当にすごいです。
人の首は吹き飛ぶわ、四肢を無くした死体がそこらへんに転がっているわ
死体には蝿がたかっているわ、とにかく凄まじいんですよ。


「プライベート・ライアン」ですら足元に及びません。

特に中盤、村人が情け容赦なく(子供も銃剣で刺殺されます。)
虐殺されるシーンは、グロ耐性があると自負していた僕ですら
ゾッとしてしまいました。






今回のランボーは明らかに異色です。
「怒りの脱出」や「怒りのアフガン」でお馴染みの
荒唐無稽でアメリカ的なランボーとは明らかに異なります。
「怒りのアフガン」は米軍の新兵教育に利用されたという話を聞いたことが
ありますけれど、果たしてこの「最後の戦場」を観て戦場に行きたいなんて思う人が
何人いるのでしょうか。

また、今まで良くも悪くもアメリカという「国家」に関係した戦いを
繰り広げてきたランボーですが、今回はそのような背景はあまり感じられません。

確かに中盤から登場する傭兵部隊はアメリカから送られてきた人間ですが、
ランボー自身はあくまでもボランティアや村人を救うため、
戦うことしかできない自分を呪いながらも戦場に赴きます。
「国のためには殺していない。」なんて台詞もあるぐらい




また、今作はミャンマー問題が取り上げられていますが
そういった問題提起のほかに、ジョン・ランボーという戦争マシーンの悲哀を
描くことに重点が置かれているように感じられました。
ランボーはベトナム戦争時代のトラウマに加え、
「人殺しの場でしか己を発揮できない自分」に苦悩します。
苦悩しながらも、止むを得ず戦うのです。


ネタバレあり。文字を反転して見てください


戦いの結果ランボーは勝利を収めますが、そこには
前二作のようなカタルシスはどこにもなく、ただ敵味方の無残な死体が積み重ねられた
地獄絵図があるだけでした。
その光景を見たランボーは大変悲しそうな顔をするんです。
「結局俺はこんなことしかできないのか」って
そのシーンでもう涙が出てきましたね。

最後にランボーは故郷へと帰るんですけど、そのシーンがまたいいですね。
一作目と同じ服を着ていて実家の牧場まで歩いていくんですけど、そこまでの道のりが
すごく長いんですよ。そしてそこにかぶさる名曲「It's a long road」


もう感無量です。




悪役であるミャンマー人が「冷酷非情な人でなしの悪人」としか
描かれていないなどという批判もあると思われますが、
一作目のような思想のぶつかり合いを描いているわけでもないし
ミャンマーでの民族浄化が問題なので、これでも良いかなと思います。



80〜90年代のヒーローアクションが大好きで
残酷描写に耐性のある方は是非ご覧ください。




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「クローバーフィールド」を観ました




なかなか楽しめる映画でした。
でも、ちょっと期待はずれだったかな・・・?







全編に渡りデジカメを使用したドキュメンタリー形式で
NYを襲った「あれ」の恐怖と、それに巻き込まれてパニックに陥る人々を描いた映画。

「あれ」が襲来し、人々が逃げまとうシーンの臨場感はすごいです。
観てるこっちまで人ごみに押されて無理矢理押し出されてるような錯覚すら覚えます。
限られた短い場面の中でも周りの人々を映すことによって、パニックがどういったものかを
リアルに伝えているのも良いですね。





ただちょっと残念なのは、中盤あたりで主人公チームが群集とは別の所へ行っちゃって、
そこからはほとんど数人+軍人とかだけで話が展開していくこと。

怪獣映画にドキュメンタリー形式を取り入れたからには、いかにも自分が群集と一緒に
逃げ惑っているかのような臨場感溢れる映像をやってくれると思っていたんですが、
そういったものは割と少なめでした。

普通のTVドラマや映画のように、主要な人物を中心として動いているのを
ただ単にデジカメを通した主観視点で撮りましたって感じで、
どうもそのあたりの下りは「ちょっとだけ金のかかったブレア・ウィッチ・プロジェクト」
のような印象を受けてしまいました。



後、「あれ」から生まれたのか、寄生しているのかは分からないんですが、
なんか蜘蛛っぽい生き物(なぜか「84ゴジラ」のショッキラスを思い出しました。)もいらなかったと思います。
余計な小物はいらないので、やっぱり「あれ」の恐怖のみをじっくりと撮っていただきたかったです。




いや、でも決して悪いわけじゃないんですよ。
怪獣の見せ方も結構良いですし、最後の終わり方なんかゾクッとしましたしね。







ただ、何かが足りないなあと感じました。
何が足りないのか、僕のような無知な人間には感覚でしか分からないんですけど。

「もう一回見たいか?」といわれても、もういいかなって感じ







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コーエン兄弟最新作「ノーカントリー」



期待以上の傑作でした。






BGMはほとんど使用されておらず、演出なども相まって
終始重苦しく、乾いた感じの雰囲気を漂わせています。

その点では、コーエン兄弟のデビュー作「ブラッドシンプル」に良く似た感じを受けました。
僕はこういった乾いた感じの雰囲気が大好きなので、
始まって数分も立たないうちにグイグイと引き込まれてしまいました。





出演者も名優揃いで、皆が皆味のある演技を披露しておりますが、
その中でも一際突き抜けていたのは、やはりバビエル・バルデムの怪演




バルデム扮する殺人鬼アントン・シガー、本当に恐ろしいです。

何事よりも殺すことを優先しているような人物で、
何のためらいもなく殺人を犯していきます。

ためらいがないどころか、人間らしい感情もほとんど見せません。
あるシーンですさまじく黒い微笑みを浮かべるぐらいです。
髪型がなぜかおかっぱなのも非常に不気味

予告では「ハンニバル・レクター以来の殺人鬼」などと謳っておりましたが、
むしろ僕は「ヒッチャー」のジョン・ライダーに似ていると思いました。

ジョン・ライダーをもうちょっと真面目な性格にした感じ
それがアントン・シガーだと思います。



ストーリーの前半部分はそんな凶悪な殺人鬼アントン・シガーから逃げ切ろうとする
ルウェリン・モス(ジョシュ・ブローリン)を主軸に描かれています。

どこにいても居場所を突き止めては意表を突いた方法で襲撃してくる
シガーも恐ろしいですが、それを髪一重でかわしていくモスも大したもの




そして後半、今まで出番の少なかったベル保安官(トミー・リー・ジョーンズ)にも
スポットライトが当てられるようになり、この映画のテーマといったようなものが見えてくるのですが
それ以上はネタバレになるので言えません。





この映画の結末は人によってかなり違った見方が出来ると思います。
十人がこれを見れば、十人全員が違う捉え方をするかもしれません。




しかし、ラストシーンを見たときはほとんどの人が「あれっ?」と
首をかしげてしまうでしょう。
「あの台詞はどういう意味なの?」という感じで

僕もそうでしたし、周りの人も驚いていました。




一応、パンフレットには黒原敏行さんによる
ラストシーンのついての考察が掲載されていますが、
僕はこれが正しいとは思えません。
むしろ、正反対の意味ではないかと感じられました。





この結末に共感できるかどうかはさておき、
演出は映像は非常に素晴らしいので、
コーエン兄弟のファンであれば是非ご覧下さい。






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「ジャンパー」を観ました



一定の条件下であればどんなところへでも一瞬の内に跳ぶことができる
「ジャンパー」の力を覚醒させた青年が、反超能力の秘密結社に
命を付け狙われる話。




どうもストーリーよりアクションを重視させた感があって、
一部を除いてかなりサクサクと進んでいきます。

例えば、主人公が「ジャンパー」になるまでの話
普通は主人公がどういったやつで、なぜこんな力を手に入れたのかを説明するのに
大体20分から30分ぐらいは使いそうなんですが、
この映画ではそれに五分ほどしか使いません。

「気の弱い主人公が苛めっ子にガールフレンドからのプレゼントを
凍りついた川に投げ込まれて、取りに行こうとしたら凍りが割れて溺れそうになったけど、
それがきっかけでジャンパーの能力が覚醒した。」


わずか2シーンです。
それでもちゃんとした説明になっているというのは面白いですね。



その後も、ジャンパーの能力の限界だとか、謎の組織パラディンのことだとか、
必要最低限の設定についてもサラッと触れていくだけで、
特にこれといった掘り下げなどはありません。
登場人物の性格についても同様です。





やりたい放題のジャンパー生活を続けてきた主人公は
はっきり言って、マヌケで危機感ゼロのちょっぴりダメな人なんですけど、
別に精神的な成長だとかはありません。




しかし、そうしたドラマ的要素を最低限省略した分、
アクションについては申し分の無い出来になっております。
北極や砂漠など、様々なところに移動しながらの戦闘や、
東京でのジャンパー能力を駆使したカーアクションは
非常にスタイリッシュです。
さすがはダグ・リーマン、がっかりはさせません。






よく練られた設定を活かしたSFドラマなんかを期待していると肩透かしを食らいますが、
普通にアクションを期待しているのであれば、観て損をすることはないと思います。

もっとジャンパーについて知りたいという方は文庫版をどうぞ。
映画ではサブキャラとして登場しているグリフィンが主人公の話もありますよ。




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