とある山師の栄光と破滅を描いた作品。
あの「ノーカントリー」とアカデミー作品賞を争った作品です。
先に感想を言ってしまうと、ものすごく面白かった
製作者の事情がなければ「ノーカントリー」を押しのけての受賞もありえたのでは?
ダニエル・デイ・ルイス扮する山師プレインビューは死んだ同僚の子供を連れ、
あちこちで村人をだましては安価で石油を掘り続けていました。
そして今回もとある若者の情報によって、小さな田舎の村に石油があることを知り、
早速地主のおじいちゃんを上手いこと、でもちょっと強引に説き伏せて
石油を掘っちゃいます。
まあ、現代のベンチャー企業の社長さんみたいな人なんですよ。
この人は他人を全然信頼しないわ、めちゃくちゃ強欲だわで
ものすごく性格悪いんですけど、別に完全な悪人というわけではないんですよ。
ちょっぴりおちゃめなところもあって、うっかり感情移入してしまうシーンもあります。
なんというか、一言では言い表せないような人なんです。
で、この人が村で石油をやんややんやと掘りたいわけなんですが、
その村には一人、異常な人物がいました。
その男の名はイラーイ、演ずるはポール・ダノ
この男は熱心なキリスト教の神父で、毎朝人を教会に集めて
体調の悪い人を呼び出しては
「悪魔よ去れ!悪魔よ去れ!神の怒りがどうたらこうたら〜」
とか言ってエクソシストのようなことをやって、「あなたの痛みは消えました、もう大丈夫です。」
なんて根拠の無い妄言を吐いて、村の老人からおアツイ支持を受けてるんですよ。
あれですね、江○○之や細○数○の同類
宗教なんかこれっぽちも信じていないプレインビューはこいつが大嫌い
しかもこいつは自分が正しいことをしてるって疑わない
ちょっと自分で自分を洗脳してるようなやつだから、余計に腹が立つ。
しかも土地の契約をする時にこいつに教会のお布施として5000ドルやるって
約束を取り付けちゃったから、もう目の上のたんこぶ的な存在。
で、ある日息子が油田の事故で耳が聞こえなくなってしまった。
プレインビューは悲しみより先にイーライに怒りをぶつけます。
あれだけ老人の病気は治してきた(と言っている)のに、
息子の耳ぐらい治せないインチキなイーライに掴み掛かり、
殴り飛ばします。石油がべったりついた地面に頭擦り付けます。
このことがきっかけで、二人の冷戦が始まるわけです。
金は持っているが心は孤独な性悪山師プレインビューと
狂信的なカルト神父イーライ
果たしてどちらに軍配が上がるのでしょうか。
ストーリーも良いけれど、演出も絶品です。
PTA監督はキューブリックが大好きなようで、
今作もキューブリックの作品を彷彿とさせるような演出がチラホラと。
例えば、オープニングから10分程度、無音のシーンがあるのですが
これは「2001年宇宙の旅」のオープニングを彷彿とさせます。
どこか冷たい感じのする雰囲気もキューブリック作品とよく似ていますね。
個人的に一番のお気に入りは、石油に火がついちゃって
油田火災が発生するシーン。
このシーンではプレインビューが油田の方へと走っていくんですけれど、
これがすごい長回し!
ひたすら走るプレインビューを追っかけるように撮るんですね。
これがまた格好良いんですよ。
他の方々がブログで触れているラストシーンにもかなり良い長回しがあるんですけれど、
そのシーンではカメラワークよりも役者の口げんか芸に圧倒されてしまいましたね。
本当にいい映画なんですが、
一回でその良さをすべて把握することはかなり難しいと思います。
是非もう一度観てみたい映画でしたね。


