チェコのシュールレアリスト兼映像作家のヤン・シュヴァンクマイエル氏の短編集です。
どれもが長編作品とは異なった方向の、摩訶不思議な雰囲気を持つ作品です。
一つ一つの時間が短いので割と軽く見ることが出来るのがいい感じですね。
では、個々の作品を紹介していきます
シュワルツワルト氏とエドガー氏の最後のトリック(1964年)二人の奇術師がお互いの技を交互に披露していく
しかし、激しい握手のしすぎで喧嘩になってしまい・・・・。
シュヴァンクマイエルの記念すべきデビュー作
音楽の間に断片的に挿入される効果音や奇怪な映像など、
シュヴァンクマイエル節はこの頃から変わっていません。
頭がいっぱい
手がいっぱい
遂には殴り合いに・・・ヨハン・セバスチャン・バッハ : G線上の幻想(1965年)天才音楽家バッハの曲に合わせて壁が映し出されていく。
ひたすら壁を映し出していきます。
たまにアニメーションで穴が空いたりもしますけど
音楽に合わせて壁が映し出されていくだけの作品。
白黒な映像も相まって、どことなく荘厳なイメージを
醸し出しております。
ひたすら壁家での静かな一週間(1969)ある男が扉に穴を空けて中を覗くと、
そこにはネジや舌肉が不自然に動いている
不思議な空間が広がっていた。
男は扉の前で一日を過ごし、次の日になると
今度は違う場所に穴を空けて中を覗くといったことを繰り返す。
そして一週間が経過し・・・
不気味さが漂う作品。
男の目的も全く不明。扉の中で繰り広げられる不思議な光景は
ひたすら無音で、なぜか画面がぶれています。
ブラックユーモア的要素があまりないのも特徴。
中を覗けば・・・
一人でに燃え上がる花<
庭園(1967)友人の屋敷に遊びにきた男。
そこでは何人もの人々が手をつないで門の代わりとなっていた。
シュヴァンクマイエルの中ではかなり珍しい、
アニメーションが一切使われていない作品
門の人達はジャンケンしてたり、なぜか運動着だったりして個性豊か
最後の展開は予想できるものの、なかなか味わい深いです。
これが人間の門です
ちゃんと開きます
こっそり遊んでたりしますオトラントの城(1979)「オトラント城に昔から棲む巨人が大きくなりすぎるとき、
城主はその所有権を失う」
という伝説が残されたオトラント城は
東ボヘミアに実在したものであった。
考古学者のインタビューが始まると同時に、
城にまつわる伝説が書かれた本の挿絵が動き出し、
その伝説を再現していく。
中世の気品溢れる紙芝居っぽいアニメーションはなかなかの見もの
でも途中で挿入される考古学者の写真で笑ってしまう。
最後のシーンは制作当時、検閲によって削られたそうですが・・・。
確かに何かしらの意図を感じさせる場面ではあります。
巨人に監視されている?
最後は・・・ジャバウォッキー(1971)子供のつたない発音によるジャバウォッキーの詩が朗読されると
子供部屋にある全てのものが命を持ち、動き始める。
表題作、「鏡の国のアリス」が元ネタ。
まさにダークファンタジーといった作品。
木から落ちてきた林檎は次々と腐っていくわ、
人形から人形が生まれて、生まれた人形はお鍋で煮られて
他の人形に食べられちゃうわ。
柄が人形になっているナイフや子供服は
まるで生きているかのように踊りだすわ、
こんな感じの素敵な映像が13分てんこ盛り!
ヤン・シュヴァンクマイエルという人の凄さを
見せ付けられる作品です。
素晴らしい踊りを披露する子供服
煮られる人形独特のユーモア溢れる短編の数々でした。
テーマ:映画情報 - ジャンル:映画
1996年 チェコ
監督:ヤン・シュヴァンクマイエル
出演:ペトル・メイセル ガブリエラ・ヴィルヘルモヴァー
【あらすじ】
六人の男女がいる。
鳥の被り物を作る若い男、その若い男に見立てた人形を作る中年女、
謎の装置の製作に励む本屋の男、パンの中身をくりぬき、丸めたものを集める郵便配達の女、
毛皮やブラシを集めるひげ面の男、鯉に餌をやるニュースキャスターの女
彼らは皆、自分の要求を満足させるための”自慰器具”を作っているのだ。
チェコのシュルレアリスト映像作家、ヤン・シュヴァンクマイエルの第三回長編作品にして、
最もぶっ飛んだ内容の映画です。
話は至って単純。
六人の男女が自分の要求を満たすためにそれぞれの要求に見合った「自慰器具」
(あれですね、大○のオ○チャ)を作っちゃうというお話。
そんな話を
約90分間の映画にしちゃった所がこのシュヴァンクマイエルの凄いところ
他のシュヴァンクマイエル作品ほど多くは使われておりませんが、
彼独特のアニメーションも素晴らしくて、人形なんかは
本当に生きているように見えます。
普通のビデオ屋ではおそらくレンタルすることができないし、
はっきり言ってネタバレして損をするような所も無いと思うので、
今回はネタバレありの方向でレビューします。
【登場人物】
ピヴォイネ
一応主人公、気の弱そうな青年。
人気の無い山里で鶏に見立てた被り物と傘で作った羽を装着して鶏人間となり
隣人のロウバコヴァに見立てた藁人形を虐待する。
彼が中心となるシーンでは落ち着いた感じの交響曲が流れる。
ロウバコヴァ
娼婦っぽい格好をした中年の女性。隣人のビヴォイネに好意を持っている?
さびれた教会の中でビヴォイネ人形相手にSMプレイを行う。
彼女が中心となるシーンでは、神聖な感じの曲が流れる。
アナ
夫との冷えた関係に嘆くニュースキャスター。
鯉に足を加えさせて快楽を味わう。
しかもわざわざニュースの放送中にちなみに彼女を演じているのは
本物のニュースキャスター出演に至る経緯は謎らしい
彼女が中心となるシーンでは悲しげな感じの曲が流れる。
クラ
雑誌屋を経営している冴えない感じの親父。
大好きなニュースキャスター(アナ)がテレビに映ると
ハンドメイドの抱きつきマシーンを作動させ、
擬似セックスをすることで快楽に浸る。
彼が中心となるシーンでは軽い感じの曲が流れる。
ヴェトリンスキー
ヒゲと流し目がチャーミングなナイスガイ、管理人のお気に入り。
キャップに短パン、リュックサックという小学生みたいな服装も素敵。
職業は刑事となっているが、指キャップを万引きしたり
側にいた女性がつけていた毛皮をカミソリの刃で切り取っちゃったり
とてもそうだとは思えない。
そんな彼は触覚フェチ、板切れや麺棒に毛皮だの指キャップだのブラシだの打ち付けた釘だのを
貼り付けて、自分の体を擦ることで快楽を得る。
彼が中心となるシーンでは壮大なオペラ(男性のソロ付き)が大音量で流れる。だが、そういったシーンでは大抵彼は間抜けなことをしているので、そのギャップに思わず爆笑してしまう。
ちなみにアナは彼の妻である。
マールコヴァ
郵便配達員。
パンの中身をちぎって丸めたものを
鼻から大量に吸い込み、一晩経ってからまた噴き出すことを快楽としている。ピヴォイネにロウバコヴァからの手紙を渡したり
アナにパンをあげたりするキーパーソン的な人物。
物語はこの七人が自分のための自慰器具を作り、完成したそれを使用することで快楽を得るという
単純と言えば単純な話なのですが、その自慰器具があまりにも変すぎるんです。
だって、
鶏の物真似をして隣のオバチャンの人形を虐め回すとか
変態鳥男
その犠牲者(人形)人形相手にSMプレイとか
SMおばちゃん
その犠牲者(人形)鼻からパンのかたまり何十個も吸い込むとか
ズズズー
フンガッ!テレビ出演中にわざわざ鯉の入った盥を足元に置いて喘ぐとか
鯉
注:生放送中ですわざわざ大層な機械作ってニュースキャスターと抱き合う真似事とか
抱き合う男とエロマシーン
ブチュいろんなものをつけたブラシで体を擦るとか
恍惚の表情普通考えませんよ。
でも、それをやっちゃうのがチェコを代表するシュルレアリストであるシュヴァンクマイエルの凄さ。
ある意味残酷な結末とタイトルの意味に深い感銘を受けるもよし、
登場人物の奇天烈な行動に笑うもよし、
とにかく、最高に変な映画を観たい!という人にはオススメです。
あ、でもエロは期待しないように
せいぜいおっさんの生尻が映るぐらいですからストーリー ★★★★(非常に独創的なストーリー、前半はやや単調か)
スリル (ほぼ皆無)
オバカ ★★★★(素晴らしいオバカ映像、芸術とバカは紙一重)
グロ ★★(見る人によっては独特のアニメーションが気持ち悪いかも)
テーマの深さ ★★★(ああ、なるほどなあ、といった感じ。そんなに難解ではないですよ)




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1988年 チェコ
監督:ヤン・シュヴァンクマイエル
出演:クリスティーナ・コホウトヴァー
【あらすじ】
ある日、アリスが家の中で遊んでいると、突然剥製のウサギが動き出し、
「遅刻する」と言いながら慌てて引き出しの中へと入っていった。
後を追って引き出しの中へ入ったアリスは、なんとも言いがたい
不思議な世界へたどり着く・・・。
ルイス・キャロルの原作を基にした、ヤン・シュヴァンクマイエル監督による
ファンタジー映画。
(アリス自体の映画化、ということではないようです。)ヤン・シュヴァンクマイエルはチェコスロバキア出身の監督で、
パペットや粘土を用いた独特の作品はチェコ国内ならず、
日本においても高い人気を誇ります。
そんなシュヴァンクマイエルの第一回長編作品がこの『アリス』です。
この映画の見所は、そのブラックながらどことなくユーモア溢れる
不思議の国の住人達にあります。
例えば・・・
ウサギ原作の「アリス」でも有名なキャラクター。うさぎの剥製が突然動き出した。
やぶれた体の一部からボロボロと木屑がこぼれる。
アリスは不思議の国で彼を見つけると、決まって「ねえ」と声をかけるが
その度に
「ギョッ!」っという台詞が似合いそうな顔をして一目散に逃げ出す。
神出鬼没で、思いがけないところから現れたりもする。
靴下芋虫穴だらけの部屋に生息する謎の生物。
靴下に縦長の風船を突っ込んだような形状をしており、
部屋に空いた穴の中を這い回っている。
知能を持ち、あるものをつけることによって喋ることができる。
彼らの棲家から出る時には
足に注意しなければならない。なぜなら・・・
肉ただの肉、動く他にも様々なキャラクターが登場するのですが、これ以上書くと
楽しみが減ってしまいそうなのであとはお楽しみと言うことで・・・。
主人公であるアリスキャラもまた一風変わっておりまして、
例えばディズニー映画だと、場面に合わせて表情豊かに微笑んだり
怒ったり泣いたりと表情豊かですが、この映画のアリスは
ほとんどと言っていいぐらい無表情で、あまり喋りもしません。
途中でウサギを見つけると必ず「ねえ」とは言いますが、
決して
「あら待ってようさぎさーん、ウフフフフー」などといったような言葉は口に出しません。
たまに笑ったり泣いたりするのですが、
笑う状況が変だったり、涙を出しすぎて・・・(これは原作でもありましたね。)
という風に、全体的に不条理といいますか、
ダークファンタジーと言いますか、そんな感じの雰囲気が漂っていまして
人を選ぶ映画であるかもしれません。
テリー・ギリアムやティム・バートンのような
ブラックユーモアなテイスト溢れる監督の作品が好きな方であれば
おそらく気に入っていただけるのではないでしょうか。
ストーリー ★★★★ (奇抜なキャラクターと展開は好きな人にはたまらない)
スリル ★★ (次にどんなやつが出てくるか、というドキドキ感はある。)
おバカ ★★★ (ブラックユーモアが好きな人なら)
グロ ★★ (一部のキャラがグロテスクか)
うさぎの神出鬼没度 ★★★★ (遅刻だ遅刻だ騒いでるのに、なぜそんなところに・・・)

オテサーネク 他


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