【あらすじ】
ハンガリーの小さな村。
そこに住むチェリックおじいさんはしゃっくりが止まらない。
朝から晩まで、毎日毎日しゃっくりばかりしている。
町では何やら奇怪な出来事が立て続けに起こっていた。
人が消え、警察が懸命に何かを探している。
村の老婆達は何やら怪しげな計画を立てている。
しまいには突然地震が起きたり・・・。
そんな大変なことが起こっていても、チェリックおじいさんのしゃっくりは止まらない。
ハンガリーの映像作家、パールフィ・ジョルジ監督の作品。
ハンガリーの映画と言われても、ド素人の僕にはピンとこないのですが
この作品を見た後だと、ハンガリーって面白い国なんだなって思い込んでしまいますね。
まあこれはデヴィッド・リンチの映画を観て
「アメリカでは突然交通規則で人を殴ったり、丸太を抱えたおばさんが
そこらへんをうろついているのがが日常茶飯事なのかあ・・・」
なんて思うのと一緒ですから、大きな間違いなんですけど(笑)
さて、この「ハックル」
デヴィッド・リンチの「ツインピークス」なんかに似てるというのを聞いたんですが、
確かにそうだと思いました。
一言でいうなら「自然系デヴィッド・リンチ」といった感じ
これはあくまでも個人的なんですけど、リンチ映画って
蒸気の煙とか、暗闇を照らす光とか、ビデオだとか、不自然なところにおかれている耳だとか、
人工的な物を感じさせる演出がふんだんに使われていると思うんです。
そうやって人工的というか、人為的なもので埋めた結果、
元々の映像に閉塞感があって、それがリンチ映画の面白さの一つとなっているんですね。
それに対してこのジョルジ監督は、ハンガリーののどかな大自然を最大限に有効活用して
その中で起こる不条理といいますか、ハプニング(勿論作られたものなんですが)を
淡々と映しています。
それはミミズを捕らえたモグラの末路だったり、蜂の巣ごとバラバラに砕かれる蜜蜂だったり
やたら「死」に関係したものが多いんです。
そんな死の様子をズームなどを用いてじっくりと、かつ淡々ととらえていきます。
ごくごく当たり前に起こっていることなのに、
なぜかデヴィッド・リンチの映画を観ているかのような不条理感が漂ってくるんです。
そんな自然界での「死」があちらこちらで繰り広げられていく中で
人間の奇怪な物語が進んでいくわけなんですが、
これに関しては説明的な描写はほとんどナシ!
まるで監視カメラのモニターを観ているかのように
ただそこに映っている人が何かをしているだけ。
この作品が扱っているのはあくまでも「ハンガリーにある小さな村のとある風景」であって
そこで起こる出来事にはあまり主題をおいていない、
そんな風にすら思えました。
答えは一切提示されません。
何が起こっているかは、僕ら観客が想像しなければならないのです。
そんなのどかでありながら奇妙な村を
ものすごく良い塩梅の顔で見守るのが、我らがチェリックじいさん
彼の目の前で何が起ころうが表情一つ変えずにしゃっくりを繰り返すだけ。
それはあたかも「この映画は何も考えず、ただ観るだけでいいんじゃよ」
というメッセージを伝えるための橋渡し的役割を担っているように思えます。
あまり出番はないんですが、ものすごく印象に残りますよ。特にあの顔が
レンタルはおそらくできないし、アマゾンなんかでも取り扱っていないので
観るにはちょっぴりお金がかかってしまうんですけど
一度は観ていただきたい作品ですね。
あ、でも合う合わないがはっきりしてそうな作品だからなあ・・・・



