うまい棒めんたい味の如く映画を語る

ちょっぴり辛く、どちらかと言うと甘い感じで 映画をレビューしていきます。 ホラー、サスペンスが中心です。

第五十八回映画レビュー「未来世紀ブラジル」

未来世紀ブラジル スペシャルエディション 未来世紀ブラジル スペシャルエディション
ジョナサン・プライス、ロバート・デ・ニーロ 他 (2003/11/21)
ジェネオン エンタテインメント
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【あらすじ】
20世紀のとある世界、書類がモノを言う
超情報化社会が実現していた。
その世界では厳しい管理体制が敷かれており、頻繁に爆弾テロが発生していた。

記録局の職員であるサムは、毎晩翼を持った戦士となって
美女を悪魔達から救い出そうとする夢を見ていた。
しかし、いつも美女を救い出す前に夢は終わってしまう。

ある日、無能な上司の仕事の肩代わりとして訪れた
貧民街でサムは夢の美女に瓜二つなトラック運転手のジルと出会い
心を奪われる。
彼女のことについて情報を得るため、サムは両親のコネを使って
情報剥奪局へ昇進し、彼女のことを調べていくが・・・




テリー・ギリアムの最高傑作にして
映画史にも残る大傑作。



大変お恥ずかしいことであるんですが、
僕は今までテリー・ギリアムのファンを気取っていながらも
この作品を観た事が無かったんです。
(鎧武者のシーンとかは観た事あるんですけどね。)

「行き着けのレンタルビデオ屋に置かれていなかった。」というのが
その大きな理由なんですが、数日前に(この記事を書いたのは1月26日です。)
気まぐれで六ヶ月ぐらい足を運んでいない駅前のビデオ屋にいってみると
あら不思議、SFの棚の隅っこの方にちょこんと顔を覗かせていたではありませんか!



もういても立ってもいられずにレンタルしました。
いや、本当に素晴らしい作品でした。





過剰な文書主義と合理化によって統制された
社会に生きる一人の男の身に起こった悲劇を
ブラックユーモアを交えて描くダークファンタジー。




この世界を動かしているのは書類、とにかく書類
暖房の修理をするには修理保証書、レストランに行くには
招待状がないとダメ、もう周りは書類だらけ

しかも、ルールが細かくきっちり定められているので
とにかく融通が利かない。
例えば、家の暖房が壊れたときは
修理保証書を持ってる人、つまりセントラルセンターの職員以外は
どんなことがあっても修理しちゃダメ!って決められているのに
夜中にはサービス終了してる。
なんじゃそりゃ!







しかも、おそらくそうした社会の目標である「不正の撤廃」が全然なってない。
政府が何らかのミスを犯しても、色々な御託やこじつけで
「このミスは何者かの陰謀だ!」なんてのたまってしまいます。
本当にダメすぎな世界なんです。
でも、僕達が住んでる社会はこれよりちょっとマシというぐらいですよね?




そんな最悪の世界で出世なんかしたくないやい!とぐうたらに生きる
サム君、情報伝達用のダクトが這う部屋で、暖房の故障で起こったピンチを
ロバート・デ・ニーロ扮する全身黒タイツのダンディーなモグリ修理屋に救われたかと思えば、
政府公認の意地悪な修理業者に苛められたりといったこともありながら
狭い世界で窮屈に生きておりました。

そんなサム君の密かな願望、それは毎晩夢に出てくる美女を救い出す事
小さな夢だと思われるかもしれませんが、こんなみみっちい世界では
夢ぐらいしか楽しいことがないんです。
しかし、いつも邪魔が入ってしまい、なかなか美女を救い出す事はできません。






そんなある日、サム君は偶然にして
なんと夢の美女と瓜二つの女性に出会いました。
髪型は違うものの、顔はどうみてもその人(だって同一人物だし)






サム君はもう彼女に夢中!
もっとよく彼女のことを知りたいがため、嫌がっていた出世の道を選び
全ての情報が集まる情報剥奪局への転任に成功しました。

そしていざ彼女のことを調べると、なんと
政府にイチャもんをつけまくった罪で犯罪者候補に上がっていました。








こりゃいかんと思ったサム君、なんやかんやでとうとう彼女と再会を果たします。
「君を夢で見て好きになったんだ!」と電波丸出しのサム君は
最初のうちは嫌われていたものの、次第に打ち解け始めます。







しかし、情報剥奪局の局長は、情報網を悪用し騒動を巻き起こしたサム君にカンカン
サム君は彼女の無罪を訴えますが、全く聞いてもらえません。

困ったサム君はとある名案を思いつきます。
そして、いよいよ彼女と結ばれたかと思ったその時、政府の魔の手が・・・・






その果てに待っていたのはあまりにも衝撃的な結末でした。
エンディングのテーマが頭から離れません・・・。







ストーリーも魅力的ですが、テリー・ギリアムの
気が狂ったとしか思えない独創的なデザインのキャラクターや
セットも素晴らしい。
まさに悪夢の中としか言いようがありません。



歌う招待状、空飛ぶ戦士、ノズルだらけの部屋
パッと見て誰だかわからないロバート・デ・ニーロなど
カメラに映るもの全部が異様と言ってよいのですが、
中でも個人的にお気に入りのものは、




夢の中で登場する謎の鎧武者と、不気味なおたふくっぽい面



ブラジル鎧武者
純和風デザイン



ブラジルおたふく
不気味



中国文化とごっちゃになったような日本文化だらけのハリウッド映画において
この日本的かつ派手なデザインの鎧武者は貴重だと思いませんか?
僕は最初見たとき、ヒーロー的な格好良さのようなものを感じましたね。







ストーリー、映像、その全てにおいて独特の感性が光る傑作でした。
好き嫌いの分かれるタイプの作品だとは思いますけれど・・・。





ストーリー ★★★★★
スリル   ★★★★
オバカ   ★★★★★
グロ    ★★★★
滲み出る狂気度  ★★★★★★★★★






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第五十六回映画レビュー「サマリア」

サマリア サマリア
クァク・チミン; ハン・ヨルム; イ・オル (2005/09/23)
ハピネット・ピクチャーズ
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【あらすじ】
ヨジンは刑事のヨンギを父に持つ女子高生。
彼女の友人チョヨンは援助交際で卒業旅行の旅費を稼いでいた。
ヨジンはその手伝いとして見張り役を請負いながらも、チョヨンを犯す
汚い客を許すことができない。しかしチョヨンは客の考えや気持ちを理解しようと
いつでも笑みを絶やさないでいる。

ある日のこと、チョヨンがいつものように援助交際をしていると、警察がホテルに侵入。
ヨジンが連絡を怠ったせいでチョヨンは逃げることができず、窓から飛び降りて死んでしまう。

彼女の死を嘆き悲しんだヨジンはその罪滅ぼしと、最後まで笑っていた彼女の心を
理解しようとするため、自分がかつてのチョヨンの客と援助交際を行い、今までにためた
料金を返していく。客達は皆救われた気持ちになってヨジンに感謝し、
彼女自身も次第にチョヨンの心を理解することができるようになっていった。
しかしある日、ヨンギに援助交際の現場を目撃されてしまい・・・・。





「韓国の北野武」ことキム・ギドク監督が
援助交際に励む女子高生の友人を通し、人間が犯す不条理な罪を描き上げた問題作。




大分下火にはなったものの、韓流ブームというのはまだまだ根強いらしく
レンタルショップにもやたら大きなコーナーが設けられていて、
いかにも「わたしヨン様大好きよ!」と言いたそうな
中年のおばちゃん達が品物を物色しているのをよく見かけます。




美しくも暗い映像、激しいバイオレンス、そして難解かつ救いのない
ストーリー
が持ち味のキム・ギドク作品はそうしたブームの恩恵を
あまり受けていないようで、大抵は隅っこの方にポツンと並べられています。
酷い時にはバラバラに置かれていたりもします。

まあヨン様大好きおばちゃんの大部分は
韓流映画にそういったものを求めているとは到底思えないので、
そういった扱いも悲しいことではありますが、妥当なのかもしれません。



もしおばちゃん達が「あら?この映画、チャン様(チャン・ドンゴン)が出てるじゃない、借りちゃお!」
だなんていって「コーストガード」なんて借りてしまった日には
おばちゃんの精神はボコボコに打ちのめされ、
家族の食事は少なくとも一週間インスタント食品か店屋ものになってしまうでしょう。
あるいは「わけわかんないわ、これ」と途中で停止ボタンを押されます。





この「サマリア」も当然例外ではありません。
美しくも暗い映像、激しいバイオレンス、そして難解かつ救いのないストーリー
がバランス良く込められています。




この作品は「パスミルダ」「サマリア」「ソナタ」の三部構成となっております。
それぞれの内容を紹介していきましょう。





パスミルダ

インドの言い伝えに登場する娼婦のこと。
彼女を抱いた男はその幸福感のあまり、皆が悟りを開いて
仏教徒になってしまったと言われています。

ヨジンの友人チョヨンは自分がパスミルダになることを目指し、
援助交際を繰り返します。
ヨジンはそんなにまで無垢なチョヨンが汚い男達によって汚されていくのが
許せなかったのです。

しかし、チョヨンは自分の些細な倦怠のせいで命を落とすことになってしまいました。
絶望したヨジンは今までチョヨンが貯めたお金(私じゃ心配だから預かっておいてと言われていた)
を焼いてしまおうと考えますが、すんでのところで思いとどまり、
彼女への罪滅ぼしのためと、彼女が感じたことを少しでも理解するために
かつての客達との逆援助交際を始めます。

なぜお金を燃やさずに、客へと返そうと思ったのか。
おそらく罪滅ぼしの一環であると思われます。
チョヨンが犯した売春という罪をリセットし、自分が肩代わりするための
手段の一つとしてそのような方法を取ったのでしょう。
結局は何の解決にもなっていないばかりか、新たな悲劇を
引き起こしてしまいます。




サマリア




第二部の主役はヨジンの父のヨンギ

娘の売春の現場を目撃してしまいますが、父子家庭で
娘への愛情が人一倍強い彼は娘に怒ることができず、
娘の客に対して、娘に悟られぬよう怒りをぶつけます。

最初のうちは現場から出てきたところを捕まえ
その場で事実を追及して謝らせるだけで済ませていたのですが、
憎しみは益々膨らんでいき、それは次第にエスカレートしていきます。


それでも彼は娘にその真実を追及しようとはしません。
それが結果的に彼の罪となってしまいます。


僕はこの部が一番好きですね。
とにかくヨンギ役の役者さんの雰囲気が物凄く怖い。
客を尾行し、彼のアパートにまで入り込んで
家族の前で売春の事実を追及するさまは下手なホラー映画よりも恐怖感があります。
そして終には・・・・・


バイオレンスな描写が最も多いのもこの部です。



ソナタ

それぞれの罪を背負った親子。
二人は母の墓参りを兼ねて旅行に出かけます。
果たして二人はお互いの真実を打ち明け、理解することができるのでしょうか・・・。


この部では大自然が織り成す美しい映像をたっぷりと堪能することができます。
加えて、キム・ギドクのカメラワークの巧妙さにも驚かされるでしょう。




そして、物語の結末・・・・・
様々な解釈があると思いますが、
僕の考えとしましては、やはり救われないという感じがしてなりません。



人間の行動の理不尽さを前面に押し出したストーリー
そしてそれとは対極的な美しい映像
キム・ギドク作品の中でも傑作の部類に入るでしょう。




ストーリー ★★★★★
スリル   ★★★
オバカ   ★
グロ    ★★★





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第五十三回映画レビュー「レザボア・ドッグス」

レザボア・ドッグス スペシャル・エディション(初回限定特別価格版) レザボア・ドッグス スペシャル・エディション(初回限定特別価格版)
ハーヴェイ・カイテル、クリス・ペン 他 (2008/02/22)
ジェネオン エンタテインメント
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【あらすじ】
レストランで与太話にふける八人の男
彼らはお互いを「色」で呼び合っていた。

その後のシーン。
彼らの内の二人、「ホワイト」と「オレンジ」は
警察を振り切り、仲間の集合場所である倉庫へと身を隠す。
オレンジは腹を撃たれており、今にも意識を失いそうだ。

そこへ「ピンク」が現れ、仲間のフリをした「警察のイヌ」のせいで
「仕事」が台無しになった上に、「ブラウン」が射殺されたと語る。
二人は話し合いの結果「仕事」の紹介者であるジョーを頼ろうとするが・・・

彼らが一体何者で、一体何をしでかしたのか
そして「警察のイヌ」は誰なのか

それは、彼らの行動によって次第に明らかになっていく・・・。






ご存知、クエンティ・タランティーノのハリウッドデビュー作。



デビュー作とは言っても、その出来栄えは他の作品に勝るとも劣らず。
「トゥルー・ロマンス」や「ジャッキー・ブラウン」の後に撮ったって言われても
信じちゃうぐらいです。

オープニングのやたら長い会話、絶妙なカメラワークとカッコいい音楽
そして凝りに凝ったキャスティングなど、この頃からタランティーノ節は
炸裂していたんですね。




この作品の見所はやっぱりストーリー展開

DVDのジャケ裏とかではストーリーのあらすじが書いてあって
それで彼らが何者で何があったかというのもしっかり書かれてはいるんですけど
本編ではそれがあんまり説明されないんですよ。


最初のシーンで何だかくだらない会話してるなーと思ったら
次のシーンでホワイトとオレンジが車に乗ってて、しかもオレンジは
血をダラダラ流してる。その後倉庫について、もう一人の仲間であるピンクがきても
相変わらず断片的なことしか話さなくて、こちら側には曖昧なことしか分からない。


結局、彼らが何者でどういう目に会ったかがぼんやりと分かるのは中盤に入ってから、
その出来事については後半、しかももうすぐ終盤にさしかかろうかというぐらいに
やっと分かるといった具合なんです。





でもこれは別に説明不足とかではなくて、話の進め方の一つだと思うんです。

最初は何してるかがあんまり分からず、「こいつら何してるんだろう」と
観客に思わせておいて、登場人物の回想などで徐々にその疑問を埋めていくことで
観てる人を満足させるといったやり方であって
そこがこの映画のミソなんだと思うんですよ。



そういう意味では、DVD裏のあらすじなどが
ちょっとしたネタバレになってしまっているような気がします。

僕はあらすじを読んだ後で観たんですけど
楽しみを一つ潰してしまったような、
何だかもったいない気分になってしまいました。




という考えもあって、僕が書いた【あらすじ】は
序盤のシーンをさらっとまとめただけのものとなっております。


この作品を初めて観るという方は
是非DVD裏のあらすじを読まずにご覧になってみてはいかがでしょうか。





よくバイオレンス描写について触れられることも多いんですが
確かにタランティーノ作品の中ではややキツめかもしれません。

そりゃ「キル・ビル」なんかに比べたらまだまだ可愛い方ですが
とある人物を拷問するシーンなんかもありまして、
これがなかなか上手い具合に痛々しい感じになってるんですよ。
(グーで何回も殴ったり、カミソリで○○を切っちゃったり・・・・・)

後、血糊の量も結構多めです。






なにはともあれ、ストーリー・演出・俳優の三拍子揃った
タランティーノファンでなくて十分楽しめる傑作であることは間違いないです。

ちなみにチョウ・ユンファ主演の「友は風の彼方に」という元ネタがあったりします。





ストーリー ★★★★★
スリル   ★★★★
オバカ   ★★★★
グロ    ★★★★







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第四十二回映画レビュー「KILLER 第一級殺人」

キラー 第一級殺人 キラー 第一級殺人
ジェームズ・ウッズ、ロバート・ショーン・レナード 他 (1998/12/18)
ハピネット・ピクチャーズ
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【あらすじ】
連邦刑務所の新人刑務官レッサーは、強盗事件で収監された
パンズラムという囚人が上司のグライサー達に
激しいリンチを受けている場面を目撃する。
彼に同情を覚え、1ドル札を内緒で手渡すレッサー。
パンズラムはその礼として、自身の半生を綴った記録を出版社に売れと言い出す。
その晩レッサーは鉛筆と紙を密かに差し入れた。
パンズラムはわずかな時間で自伝を書き上げ、レッサーにそれを手渡す。
そこにはあまりにも衝撃的なパンズラムの半生が記されていた・・・。







オリヴァー・ストーンが制作総指揮を勤める、とある連続殺人鬼にまつわる
実話を基にした作品。
この話に登場するパンズラムについては、こちらをご覧になっていただきたいのですが、
この犯罪の略歴を見るだけでも、彼がとてつもない凶悪犯であることは一目瞭然でしょう。




このような凶悪な人物でありながら、なぜかとある一人、レッサー看守には心を開いていました。
その理由は当然本人にしか分かりません。

今まで対等に接してくれる人がいなかったから?おそらく違うでしょう。

この映画でも語られていますが、オレゴン州立刑務所のマーフィー所長も
彼と対等に接し、彼もまたそれに答えるかのように模範囚となっていったのですが
ある日突然不必要とも思えるような脱走を企て、所長の善意を踏みにじってしまいます。
彼が殺害した人々の中にも、心優しき人がいたはずです。
その他にも、彼の行動に関しては非常に不可解な点が多いのです。





この作品では、そんなパンズラムの内面、
幼い頃からの凄惨な生い立ちによる彼の悲惨な人生観や
自分が犯してきた殺人や裏切りの罪に対する考え
そして、矛盾ともいえるレッサー看守に対する態度などが
上手く描かれていると思います。

ストーリー全体から見ると、殺人鬼というよりも
腐敗した社会の犠牲者的な描かれ方をしてはいますが、
言葉の端々に異常性が表現されています。

演じているのは名優ジェームズ・ウッズ。
特にラストシーンでの表情は何とも言えません。





また、この映画では当時の刑務所の悲惨な状況をテーマにしている節があります。
相手が犯罪者であるのを良い事に好き放題リンチを加え、
その一方で財政会の大物が収監されると、とても刑務所とは思えないような
好待遇で迎えるという腐敗した当時の刑務所状況が描かれています。

その中での一際目立つのが、ロバート・ジョン・バーク(痩せ行く男の人)扮する
グライサー看守。
主演二人の演技も凄いんですが、この人の演技も凄い、というか怖い!

パンズラムの監房で普通は持ってきちゃ駄目なものを見つけて、
それをパンズラムに見せながらニンマリと笑うシーンがあるんですけど、
その顔がまたすごい!
台詞をつけるとすれば、「これでお前を死ぬまでいたぶる事が出来るぞお(はぁと)」という感じ

KILLER看守
こんな顔です。







テレビムービーらしいのですが、それにしてはかなりの出来だと思います。
ただ、決して後味の良い話ではないので、
そこら辺を考慮した上でご覧下さい。



ストーリー ★★★★
スリル   ★★
オバカ  
グロ    ★★★





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第十四回映画レビュー「紀子の食卓」

紀子の食卓 プレミアム・エディション 紀子の食卓 プレミアム・エディション
吹石一恵、つぐみ 他 (2007/02/23)
ジェネオン エンタテインメント
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2006年 日本
監督:園子温
出演:吹石一恵 つぐみ 吉高由里子


【あらすじ】
島原紀子は田舎の平凡な女子高生
新聞記者の父・徹三と妹のユカ、母親の妙子のごく平凡な家庭で育ってきた。
紀子はそんな田舎の平凡な家庭で暮らす事が嫌でたまらなかった。
そんな時、全国の若者が集まる「廃墟ドットコム」というサイトを見つける。
何でもありのままに話し合うサイトの常連達に共感を覚えた紀子は
常連の中でもカリスマ的な存在である「上野駅54」さんに会いに行くために
停電の隙に家を抜け出し、東京へと向かう。
そこで彼女が目にしたもの、そして、彼女が果たさなければいけない役割とは・・・






園子温監督による「自殺サークル」の続編にあたる作品です。
と言っても僕は「自殺サークル」を観た事が無いのですが、
観なければ困るといった所はあまりないようで、
先にこの作品を観ても問題はありません。


公開当時はあまり話題にはなりませんでしたが、
評論家からは非常に高い評価を得ており、
特にジャーナリストの宮台真司氏はこの作品を「戦後の邦画ベスト5に入る」と大絶賛しています。
戦後の邦画ベスト5というのは言い過ぎかもしれませんが、
かなりレベルの高い作品であるということは間違いないでしょう。


この作品、個人のアイデンティティーと集団、特に「家族」における「役割」がテーマとなっております。


理想の家庭だとか、理想の人間関係といったものがありますよね。
そういうのは誰でも持ってはいるんですけど、色んな理由で結局は叶えられない場合が多い。
でも、それがささいなものであって、簡単に叶えられる程度のものであったとしましょう。


例えば、主人公紀子の父親は田舎街に暮らす平凡な地方新聞の記者で、彼の持つ家庭もまた平凡です。

いつもと同じことを繰り返すだけの毎日です。

でも彼は過去の経験から
「ごく平凡で幸せな暮らし」をすることが理想であって
彼自身も、「小さな田舎町の平凡な家庭を持つ平凡な新聞記者」としての「役割」に満足しているのです。



この場合、確かに彼自身は良いかもしれません。
ですが、その理想を押し付けられている側、
彼の娘達からすればどうでしょう。
主人公の紀子は
「小さな田舎の平凡な家庭で一生を終える新聞記者の娘」
としての「役割」を押し付けられることに嫌気がさし、
そこから抜け出そうとします。

一人の人間が理想を叶えようとする事は、
立場の弱い人間の理想を奪ってしまうのではないでしょうか。
この映画では、そこがキーポイントとなってきます。


でも、そのような二通りの人間がいることは社会の道理であって、
人々の多くがその強い方になろうとするのではないでしょうか。
この作品ではそのことを、シャンパンとグラス・花と花瓶
ライオンと草食動物の関係を例に挙げて説明しています。


例えばライオンはウサギやシマウマを食べるけど、
そのウサギやシマウマがいなくなる、つまり
ライオン的な人物が構築した「理想的な関係」から、
それに不満を持ったウサギ的な人物が抜け出せば、
どうなってしまうのか。

サバンナの世界では肉食動物の方が草食動物に比べて数が少ないので
このようなことは滅多に起こり得ませんが、社会の中ではどうでしょう。
誰しもがライオン的な人物になりたいはずです。


ライオン的な人物が構築していた「理想的な関係」は崩壊してしまうのではないでしょうか。
現に、紀子の家庭も彼女が家出したことによって・・・


ライオン的な人物の飽和。それを解決するための手段として、この映画では「レンタル家族」が登場します。

理想の家族・友人・恋人を持ちたい人の元へ人材を送り、一時的に
それぞれに見合った「役割」を演じさせる有料のサービスです。


例えば、身寄りのないお年寄りがそのサービスを利用して、
一定期間の間だけ、暖かくて優しい、テレビドラマのような家族を演じてもらうといったものです。

紀子家族団欒

幸せそうな家族、しかし・・・

紀子家族の正体

契約が終わるとこの通り


先ほどのライオンと草食動物の例で言えば、自力で餌を獲ることができない
ライオンの為に大人しい草食動物を分け与えるといった感じです。

このレンタル家族のメンバーの多くは自分の「役割」を見出せない人々
彼らは何回も色んな人物を演じていくことにより、
様々な「役割」を演じることこそが自身の「役割」であると認識するようになります。


これは一種の洗脳のような側面があって、このサービスを提供している組織は
必ずしも光だけではなく、どこか闇の側面を持っているという印象を受けます。

なぜかというと、このサービスを提供する人々の理想的な「関係」というのは様々で、
当然その中には人間の「死」を含んだ関係も存在しているんです。
このようなステージの高い「役割」を請け負うのはメンバーの中でもベテランの人間。

いくつもの人物を演じてきた彼女らは疑うことなくその「役割」を引き受けて死んでいきます。

紀子集団自殺

彼女達が請け負った役割とは・・・




このような危ないサービスなのですが、
利用者の数は非常に多いようです。

なぜなら、現実の関係よりもずっと良いから。
現実の関係なんていうのは一旦崩壊すると立て直すのは難しい上に、
必ずしもそれが理想的な関係とは言えません。

ところが、レンタル家族の場合はそうではない。
なにしろ最初から虚構なのだから、壊れることもない。
おまけに利用者の好きなように関係を構築することもできます。
(しかも、映画を見る限りではかなり安い!)

じゃあ、レンタル家族にも負ける本物の家族とは、一体何なのか。
そんなものに頼る個人は一体何なのか。

そして、現実の家族も、こんなものではないのか?


この作品ではその問題に真っ向から向かい合い、
これらが持つ矛盾をえぐり出していきます。
決して家族をポジティブに描かず、ネガティブなものとして描いているように感じます。



近年、「家族の大切さ」や「愛の強さ」をテーマにした作品が多い中で
この映画は異質であると言えます。
だからこそ、高い評価を得ているのかもしれませんが・・・




ストーリー ★★★★★
スリル   ★★★★
おバカ
グロ    ★★★★
テーマ性  ★★★★★





追記

この作品に出てくる廃墟ドットコムというサイト
実在します。

グーグルなどで検索すれば簡単に見つかるはずです。

劇中の雰囲気そのままです。これにはビックリ

現在は、この映画を観た海外の映画ファンによるアクセスが
多いようです。









無料の電子雑誌が誕生!

詳細はdima.jpへ!

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